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信心過ぎて極楽通り越す

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2019年 03月 24日

人肌の音触

群馬のsankanchiさんは大のクラシックファンである。

同時に大の「音」マニアでもある。

ここまでは普通のオーディオファンと変わりはない。

氏の最大の持ち味は徹底したピューリタンであること。

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選び抜いた食材を最高の調味料、適切な火加減で仕上げ、素材の旨味を際立たせる。

粋な器に盛り付けられた目にも楽しい料理を舌触りの良い箸で口に運ぶ。

そんな一連の動作にも似た所作が氏の音世界を形作っている。
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奥様は裏千家の師範。

奥ゆかしい甘さの後に引き締まった渋みが漂う「人肌の一杯」でもてなして頂いた。




今回お聴かせ頂いたレコード。
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すべて完全オリジナル盤1stプレス。セカンドプレスは許されない。

録音当時のマスターテープの音質が劣化する間もなくプレスされた産地直送のフレッシュサウンドだけが

氏のレコードラックの居住を許されるのだ。

当時の演奏家の吐息すら聴き漏らすまいとする執念が氏を完オリ名盤蒐集に駆り立てる。

料理する以前に素材の鮮度に徹底的に拘るのだ。




そして完オリ1stプレスに刻まれたフレッシュサウンドをありのままに空間に解き放つために

氏が選択した包丁は NORDOST Odin2。
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フォノイコに使うEMT JPA66からプリアンプAyre KX-R、そして自作Western Electric 300B パワーアンプ

最後はオリジナルTANNOY AUTOGRAH に至るまで徹頭徹尾 Odin2 である。

氏の奏でる音は決して熱くはない。かと言って冷たくもない。「人肌」なのだ。

以前、小生はOdin2を「圧倒的な情報量故に広大な空間再現をもたらす」と評したが、

氏の音はそれを笑い飛ばすかのように自然で外連味のない「人肌の音触」だった。
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ピアノの音色もバイオリンの弦の震えもすべてが自然で奏者の位置関係はもちろん、

奏者のいない空間の空気感まで認識できたのには驚いた。

これ見よがしに解像感を誇張せずに、デュフューズされたライトで撮影されたポートレートのように

ナチュラルな像が浮かび上がる。

グライコもない、チャンデバもない、DACもない、必要にして十分な機器をピュア伝送するお手本のようなシステム。

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伊藤肇 著 ”人間学” にこんな一節があるのを思い出した。

 昔、ある男が俳句を習おうと師匠のもとへやってきた。
「お前さん、俳句をやりたいかい。よろしい。それなら、いま『海鼠』(なまこ)という題で一句ものにしてごらん」
  まな板に下女とり落とす海鼠かな
「うん、できたね。しかし、この句は余計なものがごたごたとつきすぎている。余計なものを全部棄ててきなさい」
 彼はまた長考思案して、
  まな板に 取り落としたる海鼠かな
と直してさしだした。ところが、
「まだまだダメじゃ。もっと棄てなさい。俳諧に無駄は禁物じゃ」と没となった。
師匠は同じことをいっている。さあ、わからない。とうとう夜中(よじゅう)考えた挙句、
  取り落とし 取り落としたる海鼠かな
とやったら、「ああ、これでよろしい」と弟子入りが許された。
「まな板」も「下女」もすっかり棄てきった時に「海鼠」の姿が突如として現れたのだ。



楽しいひと時を与えて頂きありがとうございました。











by gokurakutojigoku | 2019-03-24 23:17 | 訪問記 | Comments(6)
Commented by sankanchi at 2019-03-25 09:31
いやー、ありがとうございます。
まるで別の部屋みたいですね。バカチョンと腕前の差を実感しました。
また、それ以上に、文化系を自認する小生も痺れる程の文章・展開、畏れ入りました。
まさに「後生畏るべし」ですね。私も頑張らなくっちゃ。
Commented by gokurakutojigoku at 2019-03-25 22:53
国語の先生に褒められるとは感激です。
実は書きたいことはたくさんあったのですが、「俳諧に無駄は禁物じゃ」とやって長々と書くわけにもいかず・・・・・。
ただ、あの日はsankanchiさんとお話をしながらもっと聴いていたかったです。
また機会を作って是非訪問したいです。
Commented by sankanchi at 2019-03-26 09:47
おはようございます。
電源ケーブルのいい物(好みの物)が見つかりそうです。ただいま、ほぼエージング済んだもの、その途中とありますが、好感触です。
精度をアップしてお迎えできればと思います。
Commented by gokurakutojigoku at 2019-03-26 20:49
好みのものが見つかりそう、という事は相性がいいのですね。
電源は料理の水と同様に大切ですからね。
ブログ楽しみにしています。
Commented by ゴロゴロ at 2019-03-28 13:23 x
ああ、素晴らしいピュアさですねえ
天井も高そうだしやはりオリジナルのイコライザカーブに適合させるため
ご自身の耳と感性を頼りにJPA66が要るんですね。
私が共通してるのはグライコ,チャンデバ,DACなしてとこだけです(^^;;

ひとつ質問ですが、モノラル盤のときはどう再生されてましたか?
ピューリタン的に片チャンネルだけのアンプとスピーカーで聴かれてるのか
(部屋の構造やLPを聴く順番もあるとは思いますが)
オートグラフはそういう細かいことは気にしないで済むのでそのまま鳴らしてるのか
Commented by gokurakutojigoku at 2019-03-28 15:53
ゴロゴロさん、それはもう究極の純粋さでした。しかし決して”純水”ではないです。
各アンプの持ち味はミネラルとして味わえました。
モノラルのお話はしなかったのですが、普通にステレオで再生されているようです。
これほどまでに情報量がリッチだと遠近感が出てくるのでステレオの如き「場」が現れます。
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